SUBURBAN STATION サバーバンステーション
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1【プロジェクト】 このプロジェクトは、次の時代の社会的、経済的営みの原型をかたちづくるような施設形態(ビルディング・タイプ)の仮説的なモデル・プロジェクトである。このような施設を社会のアクティビティや欲望、人やものの流れを整流するものという意味で、一般的にレギュレーター(整流子)と呼ぶ。ここではそのレギュレーターの一形態として「サバーバン・ステーション」と呼ばれ得る施設を考察の対象とする。 2【テキストとしての位置付け】 「サバーバン・ステーション』プロジェクトは、施設の原型を考えることを通じて次代の社会のシナリオを用意することを目指している。 つまり、それが目指すのは、特定の「建築」を正確かつ具体的に描くことではなく、このシナリオを通じて将来の社会や都市空間の変化を考える筋道を用意することが目的である。従って、読む人の関心に従って読み替えや発展を許す、という意味で「開いた」テクストになることを目指している。それゆえ、このシナリオはひとつからなるものではなく、様々なサプ・シナリオや無数のパラレル・シナリオからなる。 3【レギュレーター】 従来の(モダン)社会は、「生産」と「消費」の二軸に分けられていた。レギュレーターは、生産の流れと同時に消費の流れをも整流する。つまり、それが想定するのは生産と消費が必ずしも対立項ではない社会である。そこでは「働く」、「学ぶ」「遊ぶ」というような機能カテゴリーは相互排除的であるよりも、互換性のあるものと考えられる必要がある。レギュレーターはそのすべてを内包するのでなくてはならない。 4 【ペリフェリーとしてのサバーブス】 舞台を郊外に設定した。ここでいう郊外とは、例えば東京にあって、都心部を含む旧来のコミュニティの外側(ペリフェリー)に広がりつつある新規開発地であり、例えば東側の湾岸やとりわけ西側の第4山の手と呼ばれるような場所のニュータウンなどを想定している。ここは「郊外」とはいっても従来の郊外住宅地とは全く異なったスケールの出来事が急速に進行しつつある場所であって、その歪みがまともに露呈している地点である。いわば「ハンディキャップト・シティ東京」の典型的な場所である。余り注目されてはこなかったが、このような場所は史上あまり存在していなかったはずであり、このために私たちはそれを語るべき確かなクライテリアをもっていない。 ここは都心でもコミュニティでもない、あるいはそのどちらでもある。しかる」ここには膨大な新しい住氏が住みつきつつある。現在の状況に対する批判は余りに容易だが、逆にポジティブな提案は難しい。それが郊外を立地点として想定した理由である。 5【ステーション】 ここでいう「ステーション」とは、別に鉄道の駅を意味するわけではない。郊外におけるさまざまのアクティビティの整流の結び目(ノード)として機能する施設という意味で用いられている。 サバーバン・ステーションの核機能としては「働く」という機能を考えたい。それは現在の郊外の主役である女性やシルバーが、都心でフルタイムという従来の(成人男性型)タイプとは異なった形で働くようなプログラムを核としてステーションを組み立てることが、都心(男社会)へのオルタナティブとしての郊外のアイデンティティを強調することにつながると考えられるからだ。しかし、「オルタナティブ」として、それは単に郊外立地というにはとどまらず、都心型のフルタイム就業とは異なった自由度をもち、「学お」、「遊ぶ」機能とも接続され、組み替えられる自由な整流モードを有する。将来的にはこのオルタナティブこそがむしろ主流となっていくようなモメントを目指している。つまり、ステーションの発展の時系列を思い描くことが必要だろう。それは、「仕事」、「遊び」、「学習」などのカテゴリーが融解していくプロセスとして想定できる。その場合、この過程の媒介となるものは何かを考えていく必要があるだろう。 6【ハイパーコミュニティへ】 これまでの郊外は、都心に関して一方的に従属的なヒエラルキーの中に秩序づけられてきた。いわゆるコミュニティ施設の配置モデルがそうだ。結果として、郊外相互は均質で、従って郊外相互の横の流れのないものとなってしまった。この状況をプレイクスルーする必要がある。都心から郊外コミュニティまでのツリー的な従属関係からセミラチスもしくはリゾームのようなモデルへの変換のためにレギュレーターが作動するとしたら、それは都心の「ステーション」と対抗し得る特殊性をもつ必要がある。そうなった時、郊外はサプ都心の域を脱したハイパー・コミュニティとなる。 7【ネオ・パブリックへ】 このステーションを運営する主体は、新たな意味でのパブリックの担い手となる。それは自治体であるかもしれないし、民間のサーヴィス産業であるかもしない。いずれにせよ、その枠組みは既存のものとは異なってくるはずだし、それは組織を成立させるために更なるネットワーク化を推進していかなくてはならず、従来の公共と民間のサーヴィスの枠組みを乗り越えながら、新たな公共体のイメージを形成する。中間的に様々なタイプが可能であろうし、また、それはサプないしパラレルのシナリオで全体のシナリオを考えていく上で重要な枠組みを提供すると思われる。「ネオ・パブリック」はある意味では将来の社会組織自体の雛型である。「サバーバン・ステーション」はただ施設モデルを提示するだけではなく、将来の生産モード、消費モードの整流を通じて社会や生活の枠組み自体の改変を示唆する、そうした意味でのシナリオ・プロジェクトなのだ。 8 【ポジティブ・フィードバック機能とディスプログラミング】 すべての機能が予期されて、プログラム化されるとしたら、それは固定的に過ぎるプログラムと考えるべきである。人間のアクティビティは常に予期された機能以上のものであり、常に不確定性を内包しているからだ。それを裏切るようなディスプログラミング機能(反機?)をも備えておくことも必要であろう。 このステーションの主体が真に新しいものとなり、従ってそれ自体新しい社会の触媒となり得るには、それが自己組織化機能、ポジティプ・フィードバック機能を備えているべきであるう。制、整流されることは、一意的にコントロールされるだけではなく、自己教化を通して自分の欲望実現能力を開発し、それを制する側に回るといった専帰構造をつくりだすことになる。レギュレーターはレギュレートするのみではなく、自らもレギュレートされる。 このフィードバックが起きるには、「教育」機能が不可避である。既にある欲望を刺激するのではなく、新たな欲望をつくりだすことが肝要だ。それは単なる消費刺激にはとどまらず、よりクリエイティブな文化の創造につながるはずだ。
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| No. | 004b 004b |
| Title | SUBURBAN STATION サバーバンステーション |
| Principal use | Research Research |
| Collaboration | YATSUKA Hajime, Tom HENEGHAN, HANADA Yoshiaki 八束はじめ, トム・へネガン, 花田佳明 |
1【プロジェクト】 このプロジェクトは、次の時代の社会的、経済的営みの原型をかたちづくるような施設形態(ビルディング・タイプ)の仮説的なモデル・プロジェクトである。このような施設を社会のアクティビティや欲望、人やものの流れを整流するものという意味で、一般的にレギュレーター(整流子)と呼ぶ。ここではそのレギュレーターの一形態として「サバーバン・ステーション」と呼ばれ得る施設を考察の対象とする。 2【テキストとしての位置付け】 「サバーバン・ステーション』プロジェクトは、施設の原型を考えることを通じて次代の社会のシナリオを用意することを目指している。 つまり、それが目指すのは、特定の「建築」を正確かつ具体的に描くことではなく、このシナリオを通じて将来の社会や都市空間の変化を考える筋道を用意することが目的である。従って、読む人の関心に従って読み替えや発展を許す、という意味で「開いた」テクストになることを目指している。それゆえ、このシナリオはひとつからなるものではなく、様々なサプ・シナリオや無数のパラレル・シナリオからなる。 3【レギュレーター】 従来の(モダン)社会は、「生産」と「消費」の二軸に分けられていた。レギュレーターは、生産の流れと同時に消費の流れをも整流する。つまり、それが想定するのは生産と消費が必ずしも対立項ではない社会である。そこでは「働く」、「学ぶ」「遊ぶ」というような機能カテゴリーは相互排除的であるよりも、互換性のあるものと考えられる必要がある。レギュレーターはそのすべてを内包するのでなくてはならない。 4 【ペリフェリーとしてのサバーブス】 舞台を郊外に設定した。ここでいう郊外とは、例えば東京にあって、都心部を含む旧来のコミュニティの外側(ペリフェリー)に広がりつつある新規開発地であり、例えば東側の湾岸やとりわけ西側の第4山の手と呼ばれるような場所のニュータウンなどを想定している。ここは「郊外」とはいっても従来の郊外住宅地とは全く異なったスケールの出来事が急速に進行しつつある場所であって、その歪みがまともに露呈している地点である。いわば「ハンディキャップト・シティ東京」の典型的な場所である。余り注目されてはこなかったが、このような場所は史上あまり存在していなかったはずであり、このために私たちはそれを語るべき確かなクライテリアをもっていない。 ここは都心でもコミュニティでもない、あるいはそのどちらでもある。しかる」ここには膨大な新しい住氏が住みつきつつある。現在の状況に対する批判は余りに容易だが、逆にポジティブな提案は難しい。それが郊外を立地点として想定した理由である。 5【ステーション】 ここでいう「ステーション」とは、別に鉄道の駅を意味するわけではない。郊外におけるさまざまのアクティビティの整流の結び目(ノード)として機能する施設という意味で用いられている。 サバーバン・ステーションの核機能としては「働く」という機能を考えたい。それは現在の郊外の主役である女性やシルバーが、都心でフルタイムという従来の(成人男性型)タイプとは異なった形で働くようなプログラムを核としてステーションを組み立てることが、都心(男社会)へのオルタナティブとしての郊外のアイデンティティを強調することにつながると考えられるからだ。しかし、「オルタナティブ」として、それは単に郊外立地というにはとどまらず、都心型のフルタイム就業とは異なった自由度をもち、「学お」、「遊ぶ」機能とも接続され、組み替えられる自由な整流モードを有する。将来的にはこのオルタナティブこそがむしろ主流となっていくようなモメントを目指している。つまり、ステーションの発展の時系列を思い描くことが必要だろう。それは、「仕事」、「遊び」、「学習」などのカテゴリーが融解していくプロセスとして想定できる。その場合、この過程の媒介となるものは何かを考えていく必要があるだろう。 6【ハイパーコミュニティへ】 これまでの郊外は、都心に関して一方的に従属的なヒエラルキーの中に秩序づけられてきた。いわゆるコミュニティ施設の配置モデルがそうだ。結果として、郊外相互は均質で、従って郊外相互の横の流れのないものとなってしまった。この状況をプレイクスルーする必要がある。都心から郊外コミュニティまでのツリー的な従属関係からセミラチスもしくはリゾームのようなモデルへの変換のためにレギュレーターが作動するとしたら、それは都心の「ステーション」と対抗し得る特殊性をもつ必要がある。そうなった時、郊外はサプ都心の域を脱したハイパー・コミュニティとなる。 7【ネオ・パブリックへ】 このステーションを運営する主体は、新たな意味でのパブリックの担い手となる。それは自治体であるかもしれないし、民間のサーヴィス産業であるかもしない。いずれにせよ、その枠組みは既存のものとは異なってくるはずだし、それは組織を成立させるために更なるネットワーク化を推進していかなくてはならず、従来の公共と民間のサーヴィスの枠組みを乗り越えながら、新たな公共体のイメージを形成する。中間的に様々なタイプが可能であろうし、また、それはサプないしパラレルのシナリオで全体のシナリオを考えていく上で重要な枠組みを提供すると思われる。「ネオ・パブリック」はある意味では将来の社会組織自体の雛型である。「サバーバン・ステーション」はただ施設モデルを提示するだけではなく、将来の生産モード、消費モードの整流を通じて社会や生活の枠組み自体の改変を示唆する、そうした意味でのシナリオ・プロジェクトなのだ。 8 【ポジティブ・フィードバック機能とディスプログラミング】 すべての機能が予期されて、プログラム化されるとしたら、それは固定的に過ぎるプログラムと考えるべきである。人間のアクティビティは常に予期された機能以上のものであり、常に不確定性を内包しているからだ。それを裏切るようなディスプログラミング機能(反機?)をも備えておくことも必要であろう。 このステーションの主体が真に新しいものとなり、従ってそれ自体新しい社会の触媒となり得るには、それが自己組織化機能、ポジティプ・フィードバック機能を備えているべきであるう。制、整流されることは、一意的にコントロールされるだけではなく、自己教化を通して自分の欲望実現能力を開発し、それを制する側に回るといった専帰構造をつくりだすことになる。レギュレーターはレギュレートするのみではなく、自らもレギュレートされる。 このフィードバックが起きるには、「教育」機能が不可避である。既にある欲望を刺激するのではなく、新たな欲望をつくりだすことが肝要だ。それは単なる消費刺激にはとどまらず、よりクリエイティブな文化の創造につながるはずだ。