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全体構成を決める与条件として大きな3つのことがあった。風水でブランニングを決めること、延床面積が100年あること、地下水位が高くさらに敷地北側で地盤沈下が起きていること、である。そこでまず、どの方位に何の部屋が吉でメなのかが分かるように、風水方位を図面に描いてその通りにプランニングした。そして地盤沈下への配慮から地下空間をつくることを避け、その結果、北側隣地と距離を置くかたちで南側いっぱいに日影規制にかからないよう高さを10m以下ぎりぎりまで立ち上げることになった。また敷地が車通りの激しい道路二面に面していることから、騒音対策とプライバシー確保のために極力開口を少なくした。こうして大きく無骨なコンクリートの塊が立ち上がった。外壁は道路に合わせて青味がかかった黒い漆喰塗装とし、ルーバーは電柱に合わせてコンクリート無塗装、大走りはごみ収集場の青い防護ネットから砕石青塗装とした。これらテクスチャーの選択ではできる限り演出的でなく、目立たないあり方を目指した。 窓空間をもって外と上手に付き合うこと そして窓である。住宅には窓が必要である。強引にいってしまえば、窓により外とのつながりをつくることで住宅になる、と考えることもできる。使い古された言葉として、住宅を外に「開く」「閉じる」という二分法がある。しかし外壁に直接窓を開けても、外が騒音の激しい道路だったり隣地の窓と向かい合ってしまうと、「開く」ことがむしろ外との軋轢を生み出してしまう。またその一方で、「閉じる」ことを選択し中庭やライトコートに向って窓を開けてみても、そのつくられた風景や風の抜けない不健全な環境に辟易することになってしまう場合がある。「開く」「閉じる」のような一方的でダイレクトな外とのつながり方ではどうしても齟齬が起きてしまうのだ。そんなことが住宅密集地で起こっている。そこで、外に対して短絡的に「開く」「閉じる」のではなく、「フィルターを通して開く」。その方法として、窓を空間化してみることにした。外壁の開口部に防犯、視線のカット、風向板の役割として、超高強度コンクリートのPCルーバーを取り付ける。その内側に防虫の役割としてチュールでつくった白いカーテン網戸を、そこから延焼ラインにかからない位置に止水、防音の役割として大型木製サッシを取り付ける。すべての開口部にこうした窓空間をつくる。さらにこの窓空間を常にふたつの部屋に接するように配置してみる。すると、外的要素(光、雨、音、風、熱、虫など)がこの空間を通り、濾過、純化されることで、都心でありながらもまるで田舎にいるような健やかな内部空間ができ上がった。これは単に「開く」ことで得られる外との直線的なつながりをもった外向的な空間ではなく、「閉じる」ことで得られる独りよがりで内向的な空間でもない。外と対等に向き合い、上手に付き合うことによってはじめて得られる、臆することなく自由な振舞いができる空間である。そんな空間を、窓空間がつくり出してくれた。
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| No. | 113 113 |
| Title | m m |
| Principal use | House House |
| Collaboration | OKAYASU Izumi (lighting engineering) 岡安泉(ライティング) |
| Structural Design | Kanebako Structural Engineers 金箱構造設計事務所 |
| Facility Design | ES Associates ESアソシエイツ |
| Construction | SATOHIDE CORPORATION 佐藤秀 |
| Architectural Design | AOKI Jun, MURAYAMA Toru 青木淳, 村山徹 |
| Design | 2008.08 - 2009.12 2008.08 - 2009.12 |
| Construction | 2011.09 - 2012.06 2011.09 - 2012.06 |
| Location | Tokyo 東京都 |
| Site Area | 165m² 165m² |
| Floor Area | 324m² 324m² |
| Number of Stories | 3F 地上3階 |
| Structure | RC RC |
| URL | https://data.shinkenchiku.online/projects/articles/JT_2012_10_102-0 https://data.shinkenchiku.online/projects/articles/JT_2012_10_102-0 |
全体構成を決める与条件として大きな3つのことがあった。風水でブランニングを決めること、延床面積が100年あること、地下水位が高くさらに敷地北側で地盤沈下が起きていること、である。そこでまず、どの方位に何の部屋が吉でメなのかが分かるように、風水方位を図面に描いてその通りにプランニングした。そして地盤沈下への配慮から地下空間をつくることを避け、その結果、北側隣地と距離を置くかたちで南側いっぱいに日影規制にかからないよう高さを10m以下ぎりぎりまで立ち上げることになった。また敷地が車通りの激しい道路二面に面していることから、騒音対策とプライバシー確保のために極力開口を少なくした。こうして大きく無骨なコンクリートの塊が立ち上がった。外壁は道路に合わせて青味がかかった黒い漆喰塗装とし、ルーバーは電柱に合わせてコンクリート無塗装、大走りはごみ収集場の青い防護ネットから砕石青塗装とした。これらテクスチャーの選択ではできる限り演出的でなく、目立たないあり方を目指した。 窓空間をもって外と上手に付き合うこと そして窓である。住宅には窓が必要である。強引にいってしまえば、窓により外とのつながりをつくることで住宅になる、と考えることもできる。使い古された言葉として、住宅を外に「開く」「閉じる」という二分法がある。しかし外壁に直接窓を開けても、外が騒音の激しい道路だったり隣地の窓と向かい合ってしまうと、「開く」ことがむしろ外との軋轢を生み出してしまう。またその一方で、「閉じる」ことを選択し中庭やライトコートに向って窓を開けてみても、そのつくられた風景や風の抜けない不健全な環境に辟易することになってしまう場合がある。「開く」「閉じる」のような一方的でダイレクトな外とのつながり方ではどうしても齟齬が起きてしまうのだ。そんなことが住宅密集地で起こっている。そこで、外に対して短絡的に「開く」「閉じる」のではなく、「フィルターを通して開く」。その方法として、窓を空間化してみることにした。外壁の開口部に防犯、視線のカット、風向板の役割として、超高強度コンクリートのPCルーバーを取り付ける。その内側に防虫の役割としてチュールでつくった白いカーテン網戸を、そこから延焼ラインにかからない位置に止水、防音の役割として大型木製サッシを取り付ける。すべての開口部にこうした窓空間をつくる。さらにこの窓空間を常にふたつの部屋に接するように配置してみる。すると、外的要素(光、雨、音、風、熱、虫など)がこの空間を通り、濾過、純化されることで、都心でありながらもまるで田舎にいるような健やかな内部空間ができ上がった。これは単に「開く」ことで得られる外との直線的なつながりをもった外向的な空間ではなく、「閉じる」ことで得られる独りよがりで内向的な空間でもない。外と対等に向き合い、上手に付き合うことによってはじめて得られる、臆することなく自由な振舞いができる空間である。そんな空間を、窓空間がつくり出してくれた。
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